前略
そちらの様子はいかがですか?
ふわふわとやさしく、天使のように微笑む貴女のことですから、きっと居心地が良いことと思います。
貴女が自らの意志でそちらに旅立たれたことを誰も知らず、皆驚いています。
そして、すでに貴女を見送ることもできず、何もしてあげられなかったことを悔いています。
真夜中の電話でそれを知らされて、ふと思い出したのがこんなスケッチ。
貴女は私の描く空が好きだと言ってくれましたね。
私が自分の道を貫くべく、親の意志に逆らったときも、やさしく応援してくれましたね。
もっともっと貴女に伝えたいことがあったのに……残念でなりません。
今朝までの重い雲が嘘のように晴れてきました。
目映い光の中に、貴女の笑顔を思い出しています。
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昨晩遅く、専門学校時代の友達から電話がありました。
同じクラスだった子が亡くなっていたことを伝える電話。
「亡くなっていた」という表現は、彼女はもう荼毘にふされて内々でお葬式も済まされていたから。
友達は、何か連絡したいことがあったけどメールが戻ってくるようになって不審に思い、彼女の嫁ぎ先に電話したところ。
「うちにはおりません」と、彼女がもう実家に戻ったことを知らされたそうです。
慌てて実家に連絡を取ったら、彼女の親が語ったことは、半年前に彼女が自らの意志でこの世に別れを告げた事実でした。
彼女がどんな理由でこの世界に見切りをつけたのかはわかりませんし、追求するだけの権限はありません。
私が知る彼女はやさしく、楽天家で、思い詰めるようなタイプではなかっただけに、少しまだその知らせを信じることができません。
去年、初の単行本が出たときにはお祝いのメールをくれました。
私がこちらに引っ越してきてから、ますます会う機会が少なくなっていて、今度こそはみんなで集まろうねと言っていたのに。
知らせてくれた友達は彼女とは高校時代からのつきあいで、私以上に嘆いています。
嘘であってほしい、電話をかけたら彼女のあの口調で「久しぶり~」と言ってほしい。
当分、この動揺をおさめることができません。
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考え事しながら、ロールキャベツ作る作業に没頭していたら、いくらか収まってきました。
生きることを放棄したということは確かに逃げなのかもしれないです。
でも、事情を聞くとかなりつらい状況だったようなので、それを考えると……
今の彼女が少しでも安らかな気持ちになっていることを願うだけです。
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なんだか雷もゴロゴロ言っています。
今日の心境そのままのような。はぁ。
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読売新聞日曜版で、日本の名曲について様々な角度から取材したコーナーがあるのですが。
半年ほど前に「翼をください」が載っていて、近年では鎮魂の意味にもとられているとの記述がありました。
せめて、自由な大空に羽ばたいてほしい……そんな想いがそうさせるのでしょうか。
小学生の頃、幼くして病気で逝ってしまった友達の出棺のときも、泣きながら歌った記憶が。
今また同じように、あの曲が心の中で鳴り響いています。
- 2002/11/27(水) 06:50:42|
- 日常。
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